教室1:ひとりひとりの幸せ相談(2)/学習の参考例

 「ひとりひとりの幸せ相談」は、あなたの悩みや心配事をお話ししていただく中で自己受容を進め、個性を強みにしていく学習プランから、新しい役割を見い出し、幸せにつながる道を切り拓いていくための生き方教室です。電話とメールによって進めていきますが、人によって問題は異なり、守秘義務も生じることから、この教室の参考例については、私の創作を通してイメージしていただくことを考えました。研究所のキャラクターである共星の天使犬ウィを主役に、相談をもちかけるヘビのリンク、そこに関係する動物達のエピソード等、心のハーネスを自覚できるストーリーとして描きました。この教室の目的とするところが伝われば嬉しく思います。

<いじめられたヘビのリンク>

 ある日のことです。共星のサポート協会にヘビのリンクが訪ねて来ました。目には大きな涙を浮かべとっても悲しそうです。「どうしたの?辛いことがあったんだね」。ウィは涙声のリンクを見て優しく声をかけると「何でも話していいんだよ」と悩みに耳を傾けました。するとリンクは涙をこぼし「どうして僕はみんなの役に立てないの」と、ウィに向かい強い言葉を投げかけました。「何か、そう思う出来事があったんだね。聞かせてもらってもいいかな」。ウィは真っ直ぐリンクを見つめ辛い気持ちを受け止めようとしました。

 「僕には自由になる手や足が無いでしょう。地面を這っていたら木から果物が落ちて来て、もう少しで僕にぶつかるところだった。辛うじて当たらなかったけど、猿達はその果物を、僕らのだから放り返してほしいと言ってきたんだ。でも、投げられないので戸惑っていたら、役に立たないなと言ってみんなで僕を指差し笑い出した。悔しかったけど、歯を食いしばって聞いていることしかできなかったよ」。ウィはリンクの語るやり切れない気持ちに「うん、うん」と、うなずきながら心を寄せました。

 リンクは話を続けます。「ぼうぜんとして木の上を見ていたのですが、猿達は取った果物を仲間で交換し合いながらおいしそうに頬張っているし、入り組んだ枝をアスレチックに楽しそうに遊んでいた。そこへ鳥達が飛んで来て、なっている果物をくちばしでつついては嬉しそうにさえずっているでしょう。僕だって木登りぐらいできるけど、あんなに自由には動き回れないし、降りるのだって一苦労さ。そんな悔しさに駆られていたら、猿達が、お前にも可哀想だから果物をやると放り投げてきた。たとえお腹が減ってたって、そんな物、いらないよ。僕は悔しくて悔しくて、泣きながらその場を逃げてくることしかできなかった」。

 その後、悩んでしまったリンクは高熱におそわれ、入院して治療が必要になってしまいました。「役立たずの僕なんて、このまま死んじゃったほうがいいんだ」とベッドの上でリンクは泣きました。そこに手当する看護猿のマリンが「早く元気になってね」と言って応援してくれる優しい声が聞こえてきます。傷ついた心が温かい言葉で包み込まれました。柔らかいマリンの手がリンクのおでこに触れ、氷枕を取り替える手の温もりで、悲しみに包まれたリンクの心が少しずつ癒されていったのでした。

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<鼻を怪我した象のフリド>

 「大変な苦労だったけど、体調も快復できて良かった。悩みは一緒に考えましょう」。親身になって話を聞いていたウィは、その痛みを分かち合いながらも、うつむくリンクに一つのお願い事をしました。「君をみこんで頼みたいことがあるんだ。裏山に住んでいる象のフリドを知っているだろう。長い鼻を怪我しちゃって、不自由しているみたいだから手伝いに行ってもらえないだろうか」と、サポート協会に依頼があったフリドの悩みを伝えました。「こんな僕にできることなんか、あるのだろうか?」。リンクは疑問に思いながらも、ウィが言った通りフリドの家に急ぎました。

 「やあ、君はヘビのリンクじゃないか。僕を助けに来てくれたんだね。嬉しいよ」。フリドはリンクを迎えると「あのテーブルに置いてあるリンゴが食べたいんだが、鼻が痛くて取れないんだ。君の体を僕の鼻に巻き付け、口へ運んでくれよ」と、食いしん坊のフリドは腹ぺこで、来たばかりのリンクに早速仕事をお願いしました。「これで、どうだい」と、フリドの鼻にしっかりしがみついたリンクは、フォークでリンゴをフリドの口へ運んであげました。「ムシャムシャ。うまいうまい」。フリドの顔が笑顔になりました。「リンク、君もお食べよ」と、フリドに言われ、手伝いながら一緒に食べるリンゴが、こんなにおいしかったとは思ってもみない格別な味になりました。

 「ところで、フリド。何で怪我しちゃったの?」。痛々しそうに鼻に巻かれている包帯を見て、リンクは心配そうに尋ねました。「池のほとりにきれいなバラの花が沢山咲いていて、とっても良い香りがプンプンしたんだ。きっと食べてもうまいだろうと鼻を出したらトゲがいっぱいあるじゃないか。痛い痛い。それで怪我しちゃったんだよ」。食いしん坊のフリドの話を聞いて、リンクは思わず笑ってしまいました。

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<助けられた子兎のリット>

 リンクは少しでも怪我をしたフリドの役に立てて心がうきうきしていました。「キャー、ヘビだ!気持ち悪い」と、リンクの姿を見て逃げていく心ない兎の親子にも全く気になりません。きれいな花を美しいと感じられる今の自分が好きでした。鼻歌を歌いながら家に向かう途中のことです。「ドボン」と、何かが水に落ちるような音がしたかと思うと「誰か来て」と、子兎の母親が大声で助けを呼んでいます。「どうしたんだろう?」。リンクは慌てて悲鳴が聞こえる方向へ体を回転させると急いで現場に向かいました。

 すると、小川を跳び越えようとした子兎のリットがジャンプする時に足を滑らせ川に落ちてしまったようです。リットはまだ幼く、このままでは溺れてしまいます。「よし、僕に任せて」。リンクは川辺の枝をくわえると、長い体を川に落とし「早く僕のしっぽにつかまって」とリットに叫びました。目の前にきた浮き輪のようなリンクのしっぽにリットは必死でしがみつくと、ゆっくりゆっくり川辺に連れ戻しました。「ヘビのリンク、ありがとう」。母兎は助かったリットをしっかり抱き寄せ涙を流しました。リンクは長い自分の体がハーネスになって繋がれた喜びを心から嬉しく思いました。

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