ハーネス・ウィの考え方(1)

<福祉教育活動の原点>

公園の噴水を前に星野先生とシータスの写真
公園の噴水を前に星野先生とシータスの写真

 視力に障害を負ってから白杖で歩けるように努めましたが、自由にできず、研究・教育活動の限界に悔しい気持ちでいました。1989年(平成元年)よりアイメイト(盲導犬)と歩行を始め、行動範囲は広がり、看護・福祉の専門学校で社会福祉の講義を担当することもできるようになりました。しかし、盲導犬と暮らす日常生活において飲食店や宿泊施設、交通機関等の利用で拒否に合い、研究室での文献整理どころではない生活課題に頭を抱えることになってしまいました。専門職の養成は必要ですが、地域で助け合えるごくあたり前の福祉環境を築くことができなければ共生社会など有り得ないでしょう。それから福祉教育に方向づけられ、執筆や講演活動を通して盲導犬の理解と福祉社会の実現に努めるようになりました。

 1995年(平成7年)には『星野福祉教室~ふれあい福祉セミナー~』を開設し、自宅を教室に福祉教育の一歩を踏み出しました。福祉施設で働く職員やボランティア、障害をもつ方もいて、少人数ではありましたが、そこで学び合った経験から、福祉を多角的に見る視点、多文化共生の世界と個人の多様性に理解を深め、専門的・科学的な研究に加えて、主観的な感覚を含めた概念の必要性を強く感じるようになりました。この概念の確立には、研究者としての視点だけでなく、視覚障害をもつ当事者、盲導犬の眼を通して見る視点など、複眼的な視野から独自の研究スタイルを確立する可能性でした。そこで生まれたのが「ハーネス・ウィ」という用語です。

このページの先頭へ